俺は顔の拭けるようなおしぼりを用意するといっとる。それを背中から「丸和を見習え」、はないだろう。イラッとくるど。やめた。もう、お前ら紙おしぼりで我慢しとけや。
俺は神とか、そういうのはよくわからん。ラーメン屋にとって客は油断のない厳しい取引相手。
ところでトイレの清潔さは大切と分かっている。いつも心掛けたい。どちらも古く、磨いてもパリッとせんところがあるんじゃな。トイレだけ残り物の再利用をした。

ちょっと改装しますわ。
昨日、店から出てきた客に「最近の中では今日のが一番美味かった」、そう言われた。言うだけなら簡単だが、顔面を汗だらけにしたその客の笑顔がとても印象に残った。「よし、おしぼりを用意するべきだ」そう誓ったのである。
昨日、店に入ってすぐ「おいおい、いいじゃねえか」と思った。スープを味見し、麺を一本だけ食べてそう思ったんじゃなあ。これが一杯全体でやると「アレ?美味くない」、そんな事もあるんじゃがの。
ついに前任をクビにして、今週から若くてひ弱そうな何も分かってないような坊主に完全に店を任せた。
前任者がいなくなった瞬間からこの若者は変わった。少なくとも現在、ヤル気がピシピシ溢れとる。技術やへったくれより、ラーメンはこれじゃ、これなんじゃ、そんな事を思い出させた。
もうああいうラーメンは俺には出来ん。やろうとしたら骨折するだろう。
今のあのガキの作るラーメンは食っとけよ。
今、スープは月曜日から呼び戻しして、土曜日まで継ぎ足しで作る。土曜日に全部捨てて、月曜日また一から始める。そういうやり方をしている。
ラーメンはやっぱり面白い。昨日は「ラーメンやっとって良かったな」、あのガキがそう思わせてくれた。
来月、人から無理強いされ、郊外で大型の焼肉屋をやる。多分。
今一番潰れとるんが多い飲食は焼肉屋じゃないか。次から次に牛肉にまつわる問題が発生するもんなあ。
しかし、どえらい逆風だからこそ、男ならヤル気になる。今こそ新しいアイデアが求められとる。逆風の最中、実力が問われるからこそ、俺の出番なんじゃないか。
人から無理強いされたこな館はもうやめる。どえらい逆風じゃった。逆風にやるのはタコあげだけにしておくべきだろう。